三たび例の夢を見ることになるとは思いも寄らなかった。しかも今回の夢は核心に迫っているような気がした。
これまでと同じく、途中までは全く変わらない内容だった。今回は美女ににらまれてからの先の話だ。 互いに動くこともままならないでいると、突如地響きとともに姿を見せた巨大な爬虫類。二階建ての家ほどの高さがあり、太い二本の足で歩いてくるそいつは彼女をねらっていることは明らかだった。木洩れ陽を反射する鋸のような歯はダスタードのドラゴンのものよりも鋭い。
咄嗟に私は彼女の元へと走り寄る。彼女を守るための盾となろうとしたのかどうかわ分からないが、思考よりも行動が先にあったのだ。
あと少しで彼女の腕を引っ張れる、というところで一瞬にして密林も空も湿気も爬虫類もそして彼女も消え失せた。
夢の中だと分かってはいるが猛烈な緊張感が全身を包む。そのとき、背後から声がした。
「その土地は実在する……女もあの生物も実在する」 聞き覚えのある声に振り向けば、そこにはロード・ブリティッシュのイメージが浮いていた。彼は次の言葉を言ってから光の中に消えた。
「友よ、破壊されたムーンストーンを調べてほしい。お前のムーンストーンではそこには行けないが、そこに行けば必ずある……」
目は覚め夢は終わった。今日も職探しができるほどの精神状態ではなかった。それに空は荒れていた。